男性型脱毛症

成人男性が発症する脱毛症は、ほとんどが男性型脱毛症です。

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男性型脱毛症とは

男性型脱毛症は、思春期以降のある年代から前頭部(額の生え際)や頭頂部の髪の毛が薄くなり、脱毛が進行していきます。20歳代、30歳代、40歳代、いつごろから脱毛症の進行が目立ち始めるかは、人によってさまざまです。

前頭部、頭頂部、どちらかが薄くなっていく場合と、両方とも薄くなっていく場合があります。大きな特徴は、脱毛がいったん始まると、それが年月とともに進行していくことです。

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男性型脱毛症のメカニズム

男性型脱毛症は、ヘアサイクルの成長期が短縮し、太く硬い毛がだんだんと、あまり成長していない細く短い毛に置き換わっていくことで始まります(硬毛の軟毛化)。

通常なら5年くらい伸びる髪の毛が、成長期が1年、あるいはもっと短くなり、抜けてしまいます。髪の毛が十分に成長しないので、毛根もあまり太く、深くならないうちに休止期入ってしまいます。その委縮した毛根から、3ヵ月くらい後に新しい毛が生えてきて、それが1年も経たないうちにまた抜けてしまいます。それを繰り返して、毛根はどんどん委縮し、細く短い、色素も少ない軟らかい毛が増えていき、だんだんうぶ毛状になってしまいます。そういった状態がさらに進むと、休止期から成長期に移行しない、つまり新しい毛を生やさない毛根が増え、結果的に細く軟らかい毛の本数まで減ってしまいます。

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男性型脱毛症の主な原因

男性型脱毛症の主な原因は、「ジヒドロテストステロン」という物質であることがわかってきました。ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという還元酵素によって変換されてできる体内物質です。

男性ホルモンのテストステロンは、男性の心身にとって大きな役割を果たしている体内物質です。男性は思春期を迎えると、体が筋肉質になり、声変わりをして、ヒゲや陰毛が生え、ペニスが大きくなって、射精をするようになります。男性ホルモンのテストステロンは、こういった男性のいわゆる「男らしさ」を表現している物質で、おもに睾丸(精巣)で作られています。

このテストステロンから酵素5αリダクターザの働きによってジヒドロテストステロンが作られると、毛乳頭が委縮し、毛母細胞の成長が抑制されます。そのため「硬毛の軟毛化」、つまり髪の毛が太く硬く成長する前に抜けてしまい、細く短い毛が多くなるという症状が進み、薄毛が目立つようになってきます。

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男性型脱毛症の遺伝的素因

薄毛、脱毛には遺伝的な素因が関連している部分があります。5αリダクターゼの「体内での分布」は、両親からの遺伝子、「男性ホルモンに対する感受性」は、母親からの遺伝子に関わっています。

5αリダクターゼの頭部での分布は、両親からの遺伝子の影響を受けています。つまり、男性型脱毛症が起きたときに、脱毛がどのような形で進行していくかは遺伝するということです。

具体的にいえば、父親が薄毛で、本人にも脱毛症が進んだ場合に、父親が額の両脇から薄くなっていく「M字型」の薄毛ならば、本人も「M字型」に進行し、父親が頭頂部から薄くなったのなら、本人も頭頂部から薄くなります。

「男性ホルモンに対する感受性」とは、体内の男性ホルモンの状態にどれほど敏感に反応するかどうかということです。これについては、母方の祖父との遺伝的な関連の可能性が考えられます。昔から「ハゲは隔世遺伝する」という説がありますが、単なる俗説や迷信ということではなさそうです。

ただし、父親や祖父がハゲていたからといって、自分も必ずハゲてしまうと思い込んでしまうのは、間違っています。薄毛、脱毛には、さまざまな原因やきっかけが重なり合っているからです。

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